20世紀後半を扱う研究

 私が所属している研究室では,教員の興味関心を反映してか,近年では外国の科学史を研究する人が減り,日本の科学史をテーマとする人が増えています.中でも特徴的なのは,非常に最近,つまり20世紀後半を扱う人がちらほら現われていることです.このこと自体はよいことでも悪いことでもないのですけど,一つ気になるのは20世紀後半の事象を扱う人たちの多くが資料の洪水に飲み込まれてしまっていることです.資料を消化してアーギュメントを構築するという作業を怠っているために,結果として出てくるプロダクトは調査した資料の羅列ということになりがちです.

 このようなことになる原因はいくつかあって,

  • 先行研究が乏しいため,問題設定を限定しにくい.モデルとなる研究も少ない.
  • 日本の近現代については資料が大量に集められてしまう
  • 教員の指導がない

などがすぐに思いつきます.20世紀後半の事象を扱う人向けに,何か効果的な指導法というものを模索できないものか.橋本先生ともこの前少しこのことについてお話しました.