インペトゥス理論と創造論

 インペトゥス理論は普通投射体の運動を説明するための理論として紹介されます。それは間違いではありません。しかしこの理論が最初に提唱されたのは、神がどうやって天を回転させ始めたのかを説明するためでした。この後者の要素が重要であったことは、16世紀のスカリゲルですら投射体の運動を(やや独特の)インペトゥス理論で説明したあとに、同じ論理で神が世界に運動を与えたことを説明していることからも伺えます。そう考えるとインペトゥス理論と創造論との関係を二次的な問題として処理してしまう Sorabji 大先生のやり方は少し問題があるのかなと思えてきます。