『原理と起源について』を読み終わりました。話には聞いていましたけど、本当にいいところで切れています。これが最後まで書かれなかったのは残念すぎます。テレージオとデモクリトス哲学との関係についても深められないまま終わってしまっています。
とりあえず同書から読み取れる限りでのベーコンのテレージオに対する批判の要点は以下のようになります。
- テレージオの物質論には世界がカオスから秩序に移行したという創造に関係する話がない(ほんとうに?)
- 地球が冷の源で、天が熱の源だとすると、両者の勢力が不釣り合いすぎて、両者の闘争から自然現象が生まれるというテレージオの説は維持できない。
- 質料を純粋に受動的な物質とみなすのは、アリストテレス主義におかされたテレージオのあやまりである。質料はそれ自体が能動的な原理を備えている。
- 世界は冷熱に還元できない現象に満ちているのだから、これらを能動原理として立てるテレージオは誤っている。
物質が能動原理を備えているという3番目の批判は興味深い問題ではありますけど、すでにManzoがかなり深く分析していてなかなかそれ以上のことを言うのは難しそうではあります。
それ以外に目についた点といえば、ベーコンがデモクリトスの意見だと言いながら、ルクレティウスを引く点です。これだけだとデモクリトスとエピクロスを区別しないでいるかのように見えますけど、別の個所ではエピクロスを批判してデモクリトスを立てていたりします。よく分かりませんな。
明日は『古人の知恵』のクピドの寓話を扱った部分を読むことにします。