Epicureanism at the Origins of Modernity
- 作者: Catherine Wilson
- 出版社/メーカー: Oxford University Press, U.S.A.
- 発売日: 2011/03/22
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- Catherine Wilson, Epicureanism at the Origins of Modernity (Oxford: Clarendon Press, 2008), 82–105.
原子論は秩序だった世界のあり方を説明できないという弱点を抱えていました。なぜランダムな原子の衝突がたとえば規則だった天体の運動をもたらすのか。なぜ犬から犬が生まれるのか。初期近代では原子や粒子に運動の法則を与えた神を想定することで、原子論と秩序形成の問題、および原子論とキリスト教との調和をなしとげようとしました。すでにベーコンは様々な種類の事物に独自の原理を認めることは神を認めない無神論に近く、むしろ一つの原理が物質を統括していると考える方が宗教に近いと考えていました。デカルトは神が物質に運動法則を与えた上で、この世界を維持しているから、世界には秩序が認められると主張しています。ボイルも同じように考えていました。一方ガッサンディは自然法則に訴えることなしに自然現象を機械論的に説明しようとした点で古代の原子論者に近いです。
エピクロスとルクレティウスは宇宙生成論について語っていました。デカルトもまた神が実際に世界をどうつくったかよりも、この世界が種子からどのように成長したかという仕組みを考える方が有用だとして、独自の宇宙生成論を唱えました。しかし生成を機械論的に説明することはがいして不可能であると考えられていました。たとえばグランヴィルは種子的形相のようなその働きを私たちがまだ知らないような何らかの理知的作用者が種の一定性に寄与しているに違いないと書いています。ライプニッツは物質のランダムな衝突が世界を形成したというエピクロスの仮説は理解はできるけど、極めてありそうにないと考えていました。彼は何らかの(これがなにかよくわからんのですけど)形而上学的メカニズムによって最善の世界が実現されていると考えていました。たいしてニュートンは引力のみによっては太陽系のシステムが維持され続けることは不可能なのだから、この不完全な世界には神の介入が必要だととなえて、ライプニッツからの反発を招きました。
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