混交研究その21 - ゼンネルト『Hypomnemata』

 あまりに気になるので時間もないくせに『Hypomnemata』も読みました。

  • Daniel Sennert, Hypomnemata physica (Frankfurt, 1636), bk. 3, ch. 2 (pp. 118-146).

 ゼンネルトにとって酒やワインの混交物というのは、複数の物体の集積です。なのでスカリゲルが演習101番で、そういう混交物は一か所に集められた豆と実質的には変わらないと言っているのは正しい。でも、同じスカリゲルが演習16番で、混交される物体は形相を失わないといけないと言っているのは間違っている上に、演習101番と矛盾している。

 これまんまバッソンのパクリですな。

 あと分からないのは、ゼンネルトにとって発生によって生じた動植物は形相レベルで一つの物体と呼ばれるかどうかです。原子論を論理的に詰めると、これも形相レベルでは雑多な物体としか思えません。でもある個所では動植物は形相的に一つだと言われています。

 もしかすると、従属的な形相と支配的な形相の段階分けが一つの物体の中で非常に厳密になされると、たとえ複数の形相が物体中にあったとしても、それは形相的に一つと呼ばれるようになるのかもしれません。

 とにかくこのあたりを詳しく知るためには、続く「発生について」を読まないといけないです。でも今日は疲れたから明日読もう…。