Mahoney, Lovejoy and the Hierarchy of Being

  • Edward P. Mahoney, "Lovejoy and the Hierarchy of Being," Journal of the History of Ideas 48 (1987): 211-30.

 すべての存在が階層的な系列を成しているという考えが古代以来あります。この問題を論じた古典的な研究がラブジョイによる『存在の大いなる連鎖』です。本論文は古代から17世紀までの著作家を論じることで、ラブジョイが上記の観念をめぐる重要な問題を見逃していると主張しています。それは存在の階層構造にあるそれぞれの要素は一番上の神との距離からその存在論的位置をはかられるべきか、それとも一番下の非存在からはかれるべきかというものです。もし神が無限の存在なら、有限の存在はすべて均等に神から離れているのではないか?たとえば馬と人間は神からの距離と言う点では存在論的な序列は等しいのではないか?むしろ非存在の方からそれぞれの存在は区別されるべきではないか?このような一連の問いをめぐる問題です。

 ラブジョイに対する批判としてそれほど生産的なものだとは思えませんけど、それでも勉強になる論文です。内容としては彼の"Metaphysical Foundations of the Hierarchy of Being"の要約です。