16世紀のスカリゲル

History of Magic and Experimental Science, Vol 5

History of Magic and Experimental Science, Vol 5

History of Magic and Experimental Science, Vol 6

History of Magic and Experimental Science, Vol 6

 先日に引き続いて今日は16世紀を扱った『魔術と経験科学の歴史』の第5巻と第6巻でスカリゲルが言及されている箇所をメモしておきます。

  • 5:112

 スカリゲルがSymphorienを他人の著作を自分の著作にしているとして非難。insolens, tumens, turgensと批判。

  • 5:304

 スカリゲルがヨハン・スタディウスが死ぬ少し前に自らのマニリウスの校訂版を送り、それに彼を褒め称える長文の手紙を付している。

  • 5:468

 Antonio BrasavolaのExamen (1537; これ)で、ガレノスが報告しているシナモンはすでに絶滅してしまったと述べられている。これがスカリゲルの意見でもある。

  • 5:418

 コペルニクス、ラインホルト、スタディウス、メランヒトンが太陽の軌道極点がプトレマイオスの時代より地球に近付いているという学説を唱える。これにスカリゲルが反対する。

  • 5:479

 索引ではスカリゲルの名前があげられている。しかし実際には彼についての記載はなし。

  • 5:486

 Franciscus Perezがnatural fascinationを否定する著者の一人としてスカリゲルを挙げる(この本)。

  • 5:559

 狼を見たからといって人は声を失わないというスカリゲルの意見をHenry Boquetが引いている。一方カルダーノは狼の目の中には人間に敵対する要素が非常に多くあるので、それは人間が呼吸し話すことを妨げると主張。

  • 5:647

 Abraham e Porta Leonisが金に治療の効果があるという意見を指示する人物としてスカリゲルを挙げている(ここ)。

  • 6:49

 Wolfgang Meurer (1513–89)のビブリオにスカリゲルが含まれている。

  • 6:185

 ティコ・ブラーエが、彗星が出現したが死ななかった王侯貴族が大勢いて、逆に彗星が出現しなかったが死んだ王侯貴族が大勢いるというスカリゲルの発言を引用。

  • 6:257

 スカリゲルが魚についての著作を著したRondeletを、他人の著作を自分の著作にしたと批判。

  • 6:258

 アルドロヴァンディが自然誌についての16世紀の著述家としてスカリゲルを引いている。

  • 6:266

 ファロッピアがアルドロヴァンディが哲学のポストよりも薬草学のポストをとったことを批判している。後者のポストの死後といえば植物の姿を印刷して、テオフラストスについて注釈を書くことしかない。しかも後者はすでにスカリゲルが行っている。

  • 6:283–84

 カルダーノは蜂は蜜から自然発生すると考えた。これに対してスカリゲルは自然発生には腐敗が必要で、蜜は腐敗物でないのだから、蜂は自然発生しないと反論した。しかし彼は自然発生を受け入れており、蛙の雨が降ったり、ウナギやある種の貝(purple fish)は交配によってではなく唾液から生まれるとしていた。アルドロヴァンディはスカリゲルのカルダーノ批判を繰返し、それに同意するかどうかは読者に任せるとしている。

  • 6:293

 スカリゲルが『演習』のなかで(ex. 344, sec. 8)、羊の血がダイヤモンドを柔らかくする性質を持つとされていることについて、近年の幾人かの著述家が両者の間に共通する原理があるから、血がダイヤモンドに働くと述べていることについて、それはオカルト力を措定するとの何ら変わらないと述べている。

  • 6:382

 ウィリアム・ギルバートが潮の満ち引きについてのスカリゲルの見解を否定。

  • 6:387–88

 セバスティアンバッソが1621年の本(これ。ただし1649年版)で、スカリゲルを攻撃している。しかし同時に鶏の肉は金にとって毒なので、液化した金にそれを放り込むと金が分解されるというスカリゲル(とプリニウス)の意見には同意している。

  • 6:435

 アルシュテッドが天の内的な形相をスカリゲルの反対にもかかわらず措定していること。

  • 6:476

 スカリゲルが1539年にヒポクラテスの『夢について』のラテン語訳と注釈を著したこと。

  • 6:478

 Oger Ferrierが1549年にスカリゲルの『夢について』のラテン語訳とともに夢についての論考を出版(これ。ただし閲覧不可)。

  • 6:512

 Hieronymus Franzosiusが1632年の本でスカリゲルの『夢について』にあらわれる解釈を批判(これ。ただし閲覧不可)。

  • 6:571

 Cesare Vaniniが宝石に特別な力を帰すアルベルトゥス・マグヌスの意見を否定し、一匹のハエにはすべての宝石を足しても及ばないほどの力があるというスカリゲルを支持している。