シルル紀とカンブリア紀の形成 Rudwick, Worlds Before Adam, ch. 30

Worlds Before Adam: The Reconstruction of Geohistory in the Age of Reform

Worlds Before Adam: The Reconstruction of Geohistory in the Age of Reform

  • Martin J. S. Rudwick, Worlds Before Adam: The Reconstruction of Geohistory in the Age of Reform (Chicago: University of Chicago Press, 2008), 437–49.

 1830年代には地球の歴史がさらに精密に記述されるようになる。アガシは化石魚の研究により、魚がじょじょにその種における多様性を増加させていること、石炭紀は爬虫類の時代以前の魚類の時代であったと論じた。マーチソンとセジウィックはジョン・フィリップスによる石炭紀層の無脊椎動物化石の詳細な研究を土台に、その下にある漸移岩層(transition formation)の調査を行った。彼らの調査からは、これらの岩層には三葉虫や珊瑚の化石がみつかるいっぽうで、植物の化石は発見されないことがわかった。セヴィウィックの調査(マーチソンより古い漸移岩層を調べた)では、漸移岩層の下部からはいっさいの化石がみつからなかった。ここからこの漸移岩層にこそ最初の生命の痕跡が残されているのではないかと彼は推測するにいたった。これらの岩層はシルル紀とかカンブリア紀とか呼ばれた。当初はローカルな地層を指すにすぎなかったこれらの名称は、地球史全体のうちで特定の時期を占める地層群を指すようになる。