時計のような人体、時計のような政体 Neumann, "Machina Machinarum" #1

  • Hanns-Peter Neumann, "Machina Machinarum. Die Uhr als Begriff und Metapher zwischen 1450 und 1750," Early Science and Medicine 15 (2010): 122–191, here 121–133.

 初期近代における時計の比喩の使用を調べた論文を読みはじめる。時計の特徴として、自律的に、規則正しく動くというものがある。この特徴への言及はすでに15世紀後半に見られる(Tortelli, Poliziano, Polydorus Virgilius)。これらの文献で時計が machina と呼ばれていることから、machina の意味合いが変化していたことが見てとれる。machinaという言葉は、中世では静的な構造体(典型的には建築物)を指していた。それが、動的な構造体を指すものに変化している。また、時計の自律性(sua sponteに動くとされる)は、あたかも生きているようだと語られた。時計と魂をもつ生き物との類比がすでに現れていたことが分かる。また、時計の規則性は、天体の運行の大いなる規則性を模倣する能力を、機械工が備えているという意味にも解釈された。

 

 時計をめぐっては、それを人体と政体に結びつけることが行われた。正確に時を刻む時計は、定期的にメンテナンスされなければならないように、身体を健康に保つためには養生が必要である。また、しっかりと統治された都市は、必然的に街の時計も正確に時を刻むようにメンテナンスがなされているという考えもみられた。