ヴォルテールその5
高橋 安光 (1979), 『ヴォルテールの世界』, 未来社.
http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocDetail?txt_docid=NCID%3ABN00267913
を読んでいます。なかなか面白い。
欠点としては著者の顔が見えすぎるということでしょうか。導入部分ではそこがかえって面白いのですが、本論に入ったあたりからうるさく思えてきます。
さらにヴォルテールの人生をおおざっぱであれ概観するということをしないでいきなり各論に入るので、これからヴォルテールに入ると混乱するかもしれません。ただし巻末にすばらしい年譜があるので、それで補うことが可能です。
あと固有名詞を出しすぎなのも少々気になります。というか全体的に書きたいことをすべて書いたという印象で、話が直線的に進んでいきません。たぶん同じ本を今出したら、編集者から細部を削るように注文が出たと思います。
著者の高橋氏は他に研究書として
- 作者: 高橋安光
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1991/07
- メディア: 単行本
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- 作者: 高橋安光
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1995/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 高橋安光
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1985/05
- メディア: 単行本
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があります。どれも面白そうです。また翻訳書として
- 作者: ヴォルテール,Voltaire,中川信,高橋安光
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 新書
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- 作者: ポール=アンリ・ティリドルバック,Paul‐Henri Thiry d'Holbach,高橋安光,鶴野陵
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1999/10/01
- メディア: 単行本
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があります。また『一橋論叢』という雑誌に出した論文のリストがここにあります。高橋氏の論文としては
・セリュリエール『オランダにおけるピエール・ベール』 <書> 23-6,1950
・エピクロスの復活 <論> 24-5,1950
・現代フランスの教育改革の理念 <紹> 24-6,1950
・ヴォルテールにおける近代的歴史概念の構造 <論> 25-4,1951
・マレルブ小論 <論> 28-6,1952
・叙事詩「ラ・アンリアード」 -作品研究- <論> 34-3,1955
・ヴォルテール小説の発展 -『自然児』を頂点とする- <論> 38-6,1957
・フランス啓蒙運動と説教家たち <論> 43-6,1960
・デーヴィド・ディー・ビー著『カラス事件』 <書> 47-6,1962
・「シヴィリザシオン」原義考 <論> 55-2,1966
・悲劇『ジャン・カラス』覚書 <研> 80-1,1978
・「捨離」の思念 <論> 81-4,1979
があります。あとフランス啓蒙史観の系譜及び特質という大論文もあります。
いや、しかしすごい研究者です。すなおに尊敬します。どんな人かはぜんぜん知らないんですけど。