18世紀の地下文書群 Thomson, "Informal Networks"

The Cambridge History of Eighteenth-Century Philosophy 2 Volume Paperback Boxed Set

The Cambridge History of Eighteenth-Century Philosophy 2 Volume Paperback Boxed Set

 ヨーロッパ各地の図書館、とりわけフランスには、主として18世紀に書かれた数多くの哲学的内容の文書が保存されています。それらは多くの場合、匿名、ないし偽名で書かれており、内容は主として既存の組織宗教(特にカトリック)批判、および霊魂の物質主義的解釈に関するものです。これら公の場では表明することが困難であった思想に惹かれ、それを広めることに熱心であった人々が、独自に文書を作成したり、回ってきた文書を修正したり増補したりすることで、多様な場所で多様な人々によって集合的に生成されたのが、現在発見される一連の文書群となりました。これらはユグノーフリーメイソンのネットワーク、ジャーナリストによる文筆活動、コーヒーハウスやサロンでの非公式の会合を通じて伝播していきました。18世紀前半におけるこの種の文書の代表例が、『三人の詐欺師論』あるいは『スピノザの精神』と呼ばれるものです。17世紀終わり頃にJan Vroesenというオランダ人によって書かれ、1719年と21年に出版されたこの文書では、スピノザによる神概念の批判と目的論批判が、宗教批判と霊魂の物質主義的解釈と結びつけられていました。

関連書籍

啓蒙の地下文書 1

啓蒙の地下文書 1

啓蒙の地下文書 ?

啓蒙の地下文書 ?