ガッサンディ

 書くこともないので、今調べていることを書きます。

 実際にまだテキストに当たったわけではないのですが、ケプラーは磁気繊維という概念を用いて地球の日周運動を説明しています。この磁気繊維を大地の霊魂が動かすことで日周運動が起こるそうです。ケプラーがどこからこの概念を持ち出してきたのかはよく分かりません(何か研究があるのかもしれません)。少なくともギルバートにはないです。
 そのあとイエズス会士のキルヒャーが、この磁気繊維という言葉を、偏角という現象を説明するために用いています。キルヒャーは磁気と植物を類比的に語っていて、この磁気繊維というものは植物中の脈(?)にあたるものだと説明しています。
 キルヒャーの『磁石』の執筆動機のひとつはケプラー批判で、キルヒャーケプラーをよく読んでいるので、磁気繊維という言葉がケプラーから取られた可能性は否定できません。ただケプラーよりも後で、キルヒャーよりも前に磁気哲学についての本を執筆しているCabeoという人物がいて、この人が磁気繊維という言葉を用いていた可能性はあります(そしてそれをキルヒャーが拝借した)。このカベオの著作はガリカでダウンロードすることができます。で、ダウンロードはしましたけど、まだ読んではいません(汗)。
 ガッサンディもこの磁気繊維という概念を用いて、偏角を説明しています。ガッサンディキルヒャーにならって植物と磁石をパラレルにして論じています(キルヒャーにも登場する接木の例がガッサンディにも出てくる)。まず間違いなくガッサンディが用いている磁気繊維のアイディアはキルヒャーから来ていると思われます。
 キルヒャーにとっては磁気はある種の形相であり(原子論は『磁石』のなかで酷評されている)、ガッサンディにとっては磁気は粒子なので、二人の考え方は根本的に異なります。それにもかかわらずアイディアのやり取りがあるのが興味深いところです。この磁気繊維の考えは、キルヒャーガッサンディという流れですが、永年変化については、キルヒャーが『磁石』のなかで、ガッサンディからの手紙を引用しているので、ガッサンディキルヒャーという流れも存在したことが分かります。

 うーん、まだまだ絵が粗すぎますね…。粗いというかそもそも大筋がこれでいいのかもよくわかっていない(涙)。