ガッサンディと『エピトーメ』

 ガッサンディケプラーの『エピトーメ』を読んでいる証拠を示せといわれています.私が調べた限り,ガッサンディが『エピトーメ』に名指しで言及している箇所はありません.ただガッサンディが『エピトーメ』を読んでいたということは,彼が展開する議論から証明することができます.ケプラーは『エピトーメ』の中で,惑星や太陽の内部に繊維を想定して,自転運動を説明しています.これは『新天文学』では行われていません.『新天文学』でも繊維の話は出てきますが,それは自転運動とは関係させられていないのです*1.したがってガッサンディが『哲学集成』の中で,ケプラーの繊維を用いた説明を引き継いでいる以上,彼は『エピトーメ』を読んでいたはずです.他にガッサンディケプラーの『ルドルフ表』や天体暦を使っていたことが分かっていますけど,これらの著作には理論的な話は出てこないので,ソースは『エピトーメ』に限定されます.

 と,長々と書くのはいやなので,ずばり引用したり書名を挙げたりしてくれている箇所を探したのですけど,なかった….

*1:繊維は第34章と第57章に登場.