THEガジラ、「セルロイド」

 下北沢の劇場、「ザ・スズナリ」で「セルロイド」という題名のお芝居を見てきました。このお芝居は、演劇企画集団THEガジラという団体によって行われているものです。私は昨年末に同グループの企画した「わが闘争」というお芝居を見ていたので、今回は2回目の鑑賞ということになりました。

 今日見た「セルロイド」のテーマは幼児虐待です。親から子への虐待、そして虐待された子どもが成人してから自分の子どもに対して行う虐待が取り上げられています。もう一つ虐待と絡めて演劇の重要な要素となっているのは記憶の問題です。虐待という事実と虐待という記憶の関係が、特に劇の終盤から強調されるようになります。

 こんなことを書いてもなんのことか分からないと思います。すいません。でも、実は見てきた私もお芝居の筋がよく分からなかったのです。しかし、なにぶん記憶の問題を扱っているので、お芝居の中で何が事実であるのかがぼやけてしまうのはしかたがないのかもしれません。たぶんこの点は脚本を書いた鐘下辰男氏も意識的にやっているのだと思います。

 ただ、最後の方に登場する「物語」とか「人と人との関係」とかいう壮絶に陳腐なお話は、皮肉として配置したのか、それとも本当に伝えたいメッセージとして配置したのかいまいちよく分かりませんでした。そういう点を含めて全体としては、前回の「わが闘争」の方が話としての完成度は高かったし面白かったと思います。

 なんて、整理もできていないまま、鑑賞した当日に書いてしまっているのですが、実はこの公演は明日で終了してしまうので急いで書いている次第です。というわけで、興味のある人はどうぞ。たぶん当日券買えます。