「西洋古典叢書」第IV期

 「西洋古典叢書」第IV期のラインナップです。

 個人的に注目しているのは以下のもの。

アラトス/ニカンドロス/オッピアノス
ギリシア教訓叙事詩集 伊藤照夫 訳

ヘシオドスに始まるギリシアの教訓叙事詩の伝統は、ヘレニズム時代において新たな装いで再生をはたす。古典の学識を利用しつつ、神話、人生訓、哲学、天文学、漁業等々にわたる広範囲の内容を韻律形式にまとめる。アラトス『星辰譜(パイノメナ)』、ニカンドロスの『有毒生物誌』『毒物誌』、オッピアノス『漁夫訓』を収める。本邦初訳。

 ヘレニズム時代の教訓詩が日本語で読める日が来るとは思いませんでした。いやはやニカンドロスを日本語に訳すとは。

アリストテレス
トピカ 池田康男 訳

オルガノン(道具)の名で呼ばれるアリストテレスの論理学著作は6つあるが、本書はそのうち弁証術(ディアレクティケー)を学問的に確立した著作である。学のあらゆる分野において意見の分かれる問題や前提に関わりながら、それに対応するさまざまな述語様式を吟味し検討する。その意味においてあらゆる学の原理的命題へ通じる道を拓いてくれる。

 「コモンプレイス」という概念についての理解がぐちゃぐちゃになっている昨今、まずは『トピカ』から(『トピカ』にはコイノイ・トポイは出てきませんけど)。

ガレノス
ヒッポクラテスプラトンの学説2 内山勝利・木原志乃 訳

ガレノスの主たる関心は、ストア派のクリュシッポスなどの同時代の医学理論との格闘にあったが、常に生命システムの有機的な連関を念頭に置きながら、人間の本質を見すえている。第1分冊では、心臓統括論やプネウマ論を批判したが、本書ではさらに進んで、視覚理論や要素理論、探求の方法論へと論争を拡大させる。(全2冊)

 完結!