世界霊魂研究その27 メルセンヌ

 今日は少しガッサンディを調べた以外は、一日中メルセンヌの『不敬虔』を読んでいました。どん尻にひかえしはこの批判という感じで、世界霊魂論の歴史はここで一つ区切りをつけてもいいのではないかというくらい本格的な批判です。標的とされているのはジョルダーノ・ブルーノ。彼の見解が自然哲学、倫理学、神学の観点から詳細に批判されていきます。特に神学の観点からの批判は、自由意思、実体変化(パンとぶどう酒が肉と血になるというやつ)、復活といった問題を取り上げていて興味深い。

 また『不敬虔』の編者がつけた脚注を見ていると、さらに詳細な議論が『創世記注解』で行われていることが分かります。そこでは世界だけでなく、星々、大地には霊魂が宿っているかということが検討されているそうです。批判の標的はブルーノではなく、ポンポナッツィやヴァニーニ、そしてその他ありとあらゆるルネサンス思想家のようです。

 話を『不敬虔』での批判に戻すと、そこでの世界霊魂論批判は次の研究論文で検討されているようです。

  • メルセンヌ対ブルーノ メルセンヌによる世界霊魂概念批判と魔術の弾劾」 Carlos Gómez, "Marin Mersenne versus Girodano Bruno: la crítica mersenniana al concepto de anima mundi y a la condena de la magia" Δαιλων, Revista de Filosofía 14 (1997): 93-109.

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