ルネサンスのプラトンとアリストテレス
マホーニィの論文集を読んでいます。連続して読むと金太郎飴みたいに同じことが書いてありますな。
- 「アゴスティノ・ニフォの主張におけるプラトンとアリストテレス」 Edward P. Mahoney, "Plato and Aristotle in the Thought of Agostino Nifo (ca. 1470-1558)," in Platonismo e aristotelismo nel mezzogiorno d'Italia (secc. XIV-XVI), ed. Giuseppe Roccaro (Palermo, 1989), 79-101 [repr. Mahoney, Two Aristotelians].
アヴェロエスとプラトンがニフォの著作の中でどのように扱われているかを調べた研究です。先ほど紹介した論文と同じく彼の著作を時系列順にたどっていきます。そのため相変わらず焦点らしきものがない。
私にとって勉強になったのはニフォがプラトンとアリストテレスの比較をしているところでした。彼はベッサリオンによるプラトンはアリストテレスよりキリスト教の教義に近いことを教えているという評価を知っていました。この評価に対してニフォはまずプラトンもアリストテレスもキリスト教徒ではないのだから、彼らのどちらがキリスト教に近いかを言っても無意味だと述べます。その上で両者の比較をするのはいやだといいつつ、アリストテレスが基本的にはプラトンに勝っていると述べます。ただし啓示神学の領域においてはプラトンは彼が従った権威や採用した方法論の点で他のすべての哲学者をしのいでいる可能性がある、と。
これはまさにルネサンスプラトン主義を受けての、アリストテレス主義の側からのリアクションです。というわけでこのマホーニィ論文は私が去年書いた文献で引くべきでした。そもそもこの論集全体を入手しないといけないかも。