悪魔と一緒に考える

Thinking With Demons: The Idea of Witchcraft in Early Modern Europe

Thinking With Demons: The Idea of Witchcraft in Early Modern Europe

 15世紀初頭から18世紀初頭にかけて出版された著作物に現れる魔術観を総覧した大著です。「科学」と題された第二部を読みました。著者によると、魔術や悪魔についての考察は超自然的な事象を扱うものとはみなされていませんでした。反対に悪魔がなすことができるのは自然の秩序の枠内で可能なことに限られていると考えられ、それゆえ魔術や悪魔学というのは一種の自然主義という特徴を持つ分野でした。そこで論争になったのは何が悪魔には可能で何が不可能か、言いかえれば何が自然の秩序内で可能で不可能なのかでした。ここから著者は魔術や悪魔学というのは自然についての批判的思考をめぐらせる領域として存在していたと論じています。