『科学史研究』No. 259、2011年秋

科学史研究 2011年 09月号 [雑誌]

科学史研究 2011年 09月号 [雑誌]

 『科学史研究』の最新号が届きました。今回は読み応えがあります。

  • 有賀暢迪「アマチュアと科学者のあいだ:隠岐さや香『科学アカデミーと「有用な科学」』に見る18世紀の学者像」150–153頁。

 隠岐さんの著作にたいする有賀さんのエッセイレビューです。いつもながら有賀さんは論評する著作との距離のとり方がうまい。隠岐さんの論述を読み込みながらも、それにとらわれることなく、評者としてみずからの言葉で書評の枠組みを設定しています。これって難しいのですよね。あと有賀さんの書評は「お得感」が強いです。見も蓋もなく言えば、書評を読むとそこで取り上げられている本を読んだ気になれるという。こういうサービス精神ってエッセイレビューでは大切だと思います。

 ここで隱岐さんが提唱している「物質・技術文化」という視角は押さえておいたほうがいいですね。

私自身の残された問題は、マヤ科学の研究を完成して、メソポタミア、エジプトの科学と並んで、私の云う『始原科学』の三領域を完結することだが、マヤ語の解読というむづかしい問題に難渋し、遅れている。