ルネサンスと科学革命

一七世紀科学革命 (ヨーロッパ史入門)

一七世紀科学革命 (ヨーロッパ史入門)

 ヘンリーの『十七世紀科学革命』は現在品切れなんですね。デカルトニュートンが現れた歴史的状況を理解するのにまずは参照すべき本が入手しにくい状態にあるというのはかなしいことです。第2章「ルネサンスと革命」(11–17頁)では、科学革命の原因はルネサンスにあったということが簡潔に論じられています。古代著作の再発見によりアリストテレスの知的権威が失墜し、それとともに数学・魔術関係の古代著作や実践が再評価され、さらには人文主義者が実践的生の重視したことで、科学革命の原因が形成されたとしています。

こうして、科学革命の起源には、人文主義者の改革思想が主要な地位を占めていると言わざるをえない。科学革命の特徴を三つあげるとすれば、それはまず自然的世界の働きを理解するのに数学を用いること、真理発見のために観察と実験とを行うこと、そして(それまではどちらかというと価値の低い数学的職人や魔術師しかもっていなかったような)知識の有用性という考え方を、自然的知識にまで広げる、ということである。どの特徴も知識の世界に根づくには、ルネサンス人文主義が必要であった(17頁)。