16世紀の新アリストテレス主義

  • Ian Maclean, "The Interpretation of Natural Signs: Cardano's De subtilitate versus Scaliger's Exercitationes," in Occult and Scientific Mentalities in the Renaissance, ed. Brian Vickers (Cambridge: Cambridge University Press, 1984), 231–52.

 非常によく引かれる論文です。カルダーノとスカリゲルは対立し論争を戦わせたものの、その論争は新アリストテレス主義に基づくメタ言語という共通の土台の上で行われていました。そこでは対象とそれを名指す言語、世界とテキストは究極的には区别されず、論述においては確かなものと不確かなもの、真実と虚偽が混ぜ合わされていました。自然現象の説明はあらかじめ人間が抱いていた観念にしたがって構成されたもので、それは最終的には証拠よりもそれを表現する言語の基準に照らし合わせて真偽が判断されるようなものでした。このような新アリストテレス主義的土台の上に普遍的な知識を打ちたてようとした営みこそが、ガリレオが嘲笑したものであったとされます。

 なんとも論評しがたいのですけど、これよく引かれるのですよね。