自然の学としての悪魔学
Thinking With Demons: The Idea of Witchcraft in Early Modern Europe
- 作者: Stuart Clark
- 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr on Demand
- 発売日: 1999/11/25
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 1人
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- Stuart Clark, Thinking with Demons: The Idea of Witchcraft in Early Modern Europe (Oxford: Oxford University Press, 1997), 151–60.
魔女はサバトに動物にのって向かうのか。魔女は悪魔と交わるのか。交わることで子供を生むのか。魔女は狼へ姿を変えるのか。魔女は呪文や儀式によって嵐を引き起こし、視線や呪いによって病気をもたらすのか。これらの問いは初期近代の悪魔学で繰返し提起されていました。当時の知識人にとって悪魔や魔女というのはたしかに実在するもので、重要なことにそれらの営みは自然の法則にしたがってなされるものでした。というのも自然秩序の範疇の外にある奇跡は神の助けによってしか起こりえないからです。このため悪魔学というのはある種の自然原因の確定の問題となり、それゆえにアリストテレスを基礎にするスコラ学と強く結びついていました。このため特に魔女の処刑に関心を持たないような論者でも、どこまでを自然現象として論じうるかという限界を確定するために悪魔学に関心をもつことになります。悪魔が自然の一部である以上、悪魔学もまた当時の自然についての学問の一部なのでした。