リストマニアの世界 Delbourgo and Müller-Wille, "Introduction, Focus: Listmania"

 「リスト」に着目する特集のイントロダクションです。リストというのは文章とは違います。そこには命題もアーギュメントもありません。それは一定の空間のうえに対象をグループ分けします。そうやって世界を切りだし、切りだされた情報を整理するわけです。このようなリスト作成は科学活動のうちで重要な役割をはたしてきました。たとえばロバート・ボイルは学のない旅行者(たいていは商人)が旅行先で何を探し、それをどう記述すべきかを指示した質問票を作成していました。リストは世界についての知識が得られるプロセスを規定するのです。となるとリストが知識形成においてはたした役割を検証することは科学史に新たな研究の領域をもたらすことになります。本特集ではリストがまだ単純な形態をとっていた初期近代の事例に着目することで、さまざまなリストの性格、それが引き起こした効果、その研究ツールとしての可能性と限界とが検討されます。

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