郄橋「大学における西洋前近代史講義の実践報告」

  • 郄橋亮介「大学における西洋前近代史講義の実践報告」『歴史科学と教育』28/29、2012年、77–90ページ。

 著者が2010年度前期に東京女子大学で行った「西洋史概説I」講義の実践報告です。どのような方針でどのような話題をどのような史料を提示しながら講義したのかが克明に書かれておりとても参考になります。著者が講義全体を通じて心がけたのは、1. 史料を可能なかぎり提示する、2. 学生が史料を読み、読みとったことを文章化する授業内課題を設定する、3. 図像と視聴覚資料の活用です。講義にさいしては内容の要約、補助資料、参考文献が記載された配布資料を配ったとのことです。このような一般的な解説のあと、全14回の講義タイトル、内容解説、用いた史料の指示が行われます。ここがとても参考になる。なるほどこういう史料を使うのか。最後に映像資料が学生に与える印象が大きいこと、特定の人物を取り上げると関心が増すこと、専門の領域外で史料を選択することの困難さが述べられます。このような授業実践報告はどんどん増えてほしいですね。