- Patricia Curd, "New Work on the Presocratics," Journal of the History of Philosophy 49 (2011): 1–37.
読んで字のごとくソクラテス以前の哲学者たちをめぐる近年の研究状況を概観した論考である。この分野での最大の前進がエンペドクレスの新しい断片の発見によってもたらされたことは、古代哲学に関心を寄せる人ならみな知っているだろう。しかしそのようなセンセーショナルな発見のかたわらで静かに進んでいた解釈の積み重ねには通じていないという人が多いのではないだろうか(私個人は少なくともそう)。この論考はそんな門外漢の好奇心を満たしてくれる(どうみても結論が出そうにないヘラクレイトスやパルメニデス解釈の内幕をのぞいてニヤニヤできる)。いろいろ書かれていることのうちでも、近年の傾向としてクセノファネスの再評価が進んでいるというのはうれしい知らせの一つだ。じつに彼こそがギリシアの理性主義の体現しており、その文化史上の重要性は疑うべくもないように思えるからだ。
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- 作者: ジェフリー・スティーヴンカーク,マルコムスコフィールド,ジョン・アールレイヴン,Geoffrey Stephen Kirk,Malcolm Schofield,John Earle Raven,内山勝利,國方栄二,丸橋裕,木原志乃,三浦要
- 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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