神と王の絶対的な力 Oakley, "The Absolute and Ordained Power of God and King"

  • Francis Oakley, "The Absolute and Ordained Power of God and King in the Sixteenth and Seventeenth Centirues: Philosophy, Science, Politics, and Law," Journal of the History of Ideas 59 (1998): 669–690.

 神の絶対的な力と秩序付けられた力の区別が、17世紀の自然哲学と法をめぐる議論で頻繁に用いられていたことを示す論文である。著者本人が認めているように、基本的にこの区別に触れたさまざまな論者を列挙するにとどまっており、内容にまで立ち入った分析はみられない。当初神の力から教皇の権力に転用されたこの区別が、初期近代に絶対王政の王権を基礎づけるために用いられるようになる過程をみてとる後半は、初期近代の政治理論を歴史的に理解しようとするならおさえておいたほうがいいだろう。