占星術の繁栄と衰退 Hübner, "The Culture of Astrology from Ancient to Renaissance"

A Companion to Astrology in the Renaissance (Brill's Companions to the Christian Tradition)

A Companion to Astrology in the Renaissance (Brill's Companions to the Christian Tradition)

Wolfgang Hübner, "The Culture of Astrology from Ancient to Renaissance," in A Companion to Astrology in the Renaissance, ed. Brendan Dooley (Leiden: Brill, 2014), 17-58.

 古代からルネサンスにいたる占星術の歴史を概観する論考である。ルネサンス占星術が栄えた原因として、以下の三点を挙げている。占星術は抗争がたえなかった初期近代の人々に指針を与えることができた。ルネサンス個人主義が、個人のホロスコープをたてる欲望を刺激した。占星術と親和性のたかい世界方法が復興した(プラトン主義、ヘルメス主義)。最後に占星術のモチーフが、文学、建築、美術作品と深く結合した。占星術が17世紀以降に衰退した原因としては以下があげられている。詐欺師が占星術を利用したことにより、不信感が高まり公的な禁止令が出されたりした。コペルニクスケプラーガリレオらの天文学は、占星術が依拠していた宇宙体系を破壊するのみならず、星々に関する学問を数学に依拠した精密科学に変えていった。