- 飯島和樹、太田紘史「概念の能力と合理性 実験哲学は心理学以上の含意を持つか」Nagoya journal of philosophy 11 (2014): 39-61.
- https://www.academia.edu/7260337/%E6%A6%82%E5%BF%B5%E3%81%AE%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%81%A8%E5%90%88%E7%90%86%E6%80%A7_%E5%AE%9F%E9%A8%93%E5%93%B2%E5%AD%A6%E3%81%AF%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%90%AB%E6%84%8F%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4%E3%81%8B(無料ダウンロード可能)
- http://journal.frontiersin.org/Journal/10.3389/fpsyg.2014.00799/abstract(英語版)
↑人間の一般的な反応。
でもこっから、「人間って悪い結果がおまけでついてきるときほど、悪い結果あるけどやっちまえ!って思っているんだよ」って言っていいの?サンゴ礁壊したやつが悪くみえるからっていって、サンゴ礁壊したやつのほうがサンゴ礁復活させたやつより、サンゴ礁について強く意識していたっていえるの?もっと慎重になろうぜ。
そもそもなんで「人間って悪い結果がおまけでついてきるときほど、悪い結果あるけどやっちまえ!って思っているんだよ」って結論するの?それって、最初に書いた人間の反応が世界の実際のあり方を正しく反映しているって前提としているよね。で、なんで正しく反映しているかというと、その反応が人間が自分で意図したり、他人の意図を推測したりするさいに使う生まれつきもっている能力の行使の結果でてくるからって言われている。でもさ、人間の生まれつきの能力が発揮されて人間の反応がでてくるからっていって、その反応が世界の実際のあり方を反映しているとはかぎらないよね。
これはよくある間違った推論なんだ。自然食品なら健康にいいってよくいわれるけど、そんなこと自動的にいえないでしょ。同じように人間の生まれつきの能力からくる反応だからって、世界を正しく反映しているとはいえないんだ。
こう考えるとこの論文ってこの前の飯島春樹論文と似てるよね(「思考について考えるとき言語の語ること」)。あれは、人間の思考とか言語とかがうまく機能するのは、それらが外界と対応しているからだっていう考えを批判してしていた。たしかに私たちは自分たちが生まれつきいい性能の力をもっているとわかると、それがうまくいくのは世界とうまくつながっているからだといいたくなる。でもじつはその力がうまくいくのは、その力の内部にうまくいかせるような仕組みがしっかり搭載されているからなんだ。じゃあ力と外界は関係ないのかよ!いやそうじゃなくて、力が力としてまず独立でうまく働くようになっているから、いろいろ変化する外界にもうまく対応できるんだってこと。
簡単にいうと、飯島さんは意図にしても言語にしても思考にしても、そういう仕組がどうはたらいているかを一旦外界と切り離して考えるといいと考えているみたいだ。
そうするとどんないいことがあるか?意図とか言語とか思考とかとても複雑にみえるけど、いっかい外界と切り離して、その仕組をみてみると、実はけっこう単純なメカニズムで動いていることがわかってくる。メカニズムが単純なら進化の過程でどうやってでてきたかとかわかりそうじゃん。自然科学とつながってくるじゃん。こうやって自然科学とがっちりつなげてから、じゃあその能力が外界とどうかかわっているの?と話をすすめていったほうが、理解がすすむ。いきなり複雑きわまりない外界に能力をぶつけても混乱するだけじゃね?
だんだん飯島さんのプロジェクトが見えてきた気がするぞい。
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- 作者: 信原幸弘,太田紘史
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2014/05/14
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