分析哲学の領域で、人生の意味の問題がどう扱われているかを明晰にまとめてくれている。まったく知らない分野(そんな分野ばかりなんだけど)への案内として、大いに勉強になった。流れとしては、まず「どんな道徳にしたがって生きるべきか」を問うような倫理学は、それだけだとただ道徳的に生きる人間だけに価値を認めることになってしまうけれど、私たちが価値や意味ある人生というときには、道徳以外にもいろいろな基準があるだろうという問題提起からはじまる(スーザン・ウルフの論文)。そこから、ではどういうときに私たちは人生の価値を認めるのだろうか、とか、その価値は人生の全体にたいして認定されるのか、それとも部分にたいしてかという問いがあらわれてくる。また、私たちが人生に意味を認定するのはいいとして、その時認定されているものは私たちの主観的な思い込みなのか、それとも私たちから独立した存在として認められるのか、などといった問いも立てることができる。最後に、有意義だと思って打ち込んでいる活動に、ふとしたときにバカバカしさを感じてしまうことがある(「なんでこんなことに必死になっているのだろう?」のように)が、どうしてこんなことを感じてしまうのかも分析されなければならないという。
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