スピノザの聖書学への貢献 Steenbakkers, "Spinoza in the History of Biblical Scholarship"

 

 

  • Piet Steenbakkers, "Spinoza in the History of Scholarship," in The Making of the Humanities. Vol. 1 Early Modern Europe, ed. Rens Bod, Jaap Maat, and Thijs Weststeijn (Amsterdam: Amsterdam University Press, 2010), 313–325.

 この論文でSteenbakkersは、スピノザの聖書学への貢献は、当時の人文主義者たちが実践していた文献学の伝統内で理解されなければならないと主張している。Steenbakkersは、スピノザには前例がなかったとも、彼にはオリジナリティがなかったとも考えるのではなく、むしろスピノザはそれまでの文献学研究を引き継ぎながら、それでいてどの宗教にも、どのパトロンにも縛られない立場から、一般的に受け入れられている「神の言葉」についての見解を吟味し、それよって聖書の地位の劇的な低下をもたらしたのだという。