ニーフォによるミカエロス『「動物発生論」注解』利用

 昨日ニーフォ(Agostino Nifo, 1469/70-1538)による『「動物発生論』注解』を読んでいて分かったことのひとつに、彼がフィロポノスに頻繁に言及するということがあります。どうやらニーフォはフィロポノスのというか実際にはエフェソスのミカエロス(Michael of Ephesus, 11世紀から12世紀)の『動物発生論』への注解を、執筆の際には隣において逐一参照していたようです。

quod si semen fuerit animatum vegetali ipsa anima, ut Philoponus autumat, spiritus ipse seminalis, qui tenuissima seminis pars est, continebit vegetalem animam, atque caliditatem animalem, quae calori caelesti proportione respondet.

もしフィロポノスが言うように、種子が栄養摂取の魂によって生命づけられて(animatum)いるなら、種子的精気自体(これは種子のもっとも繊細な部分である)が栄養摂取の魂と生命づける(animalis)熱(これは天の熱に類比的に対応している)を含んでいることになるだろう。

 こういう感じでミカエロスを支持していたり。あとミカエロスがアルベルトゥスマグヌスらと異なる見解を述べている箇所では、双方の見解を並列させたりしています。

 たぶんミカエロスの『「動物発生論」注解』を西欧で歴史上最初に、しかも一番有効活用しているのはニーフォだと思います。だからニーフォのミカエロス使用をまとめればひとつくらいソリッドな論文がかけるかもしれません。マニアックな話題ですけど、bruniana & campanelliana あたりなら載せてくれそうです。ええ、誰かやってくれれば…。

 ミカエロスの『「動物発生論』注解」には現代語訳はありませんけど、ラテン語訳を Petrus Corcyraeus という人(誰?)が作っています。お金さえかければこれも入手可能。