バーク、文化史とは何か
- 作者: ピーターバーク,Peter Burke,長谷川貴彦
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
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ブルクハルトから現在にいたるまでの文化史(cultural history)の歩みを論じた本です。『史学雑誌』の「回顧と展望」号には次のように紹介されています。
バークの著作は、一言で言えば20世紀後半の歴史叙述・歴史理論への見事なまでのサーヴェイであって、極論をすればこの一冊だけで歴史叙述・歴史理論にまつわる現在的な問題はほぼ理解できると評価してもよいものである。文化史(文化論的転回)的なアプローチの流れを基軸として歴史研究の今後の方向性を論じたものとして、歴史研究者には必読の著作だろう。(岡本充弘、9-10頁)
個人的に興味深かったのは文化的遭遇、文化的翻訳、文化的混交を論じた個所でした。このような現象は、アステカ人がコルテスをどう理解したかといった場合や、イエズス会士がキリスト教神学をどのように日本人に理解させようとしたかと言った問題だけでなく、文化的にかなり近い集団や個人同士の接触でも生じていることだと思います。
私が携わっている領域にひきつけて言えば、あるアリストテレス主義者が別のアリストテレス主義者を理解するときには、単なる受容という言葉では片づけられない何かが生じている場合がよく見られます。
だから私がやっていることも読書の歴史における文化的遭遇を扱っており、古いところとしてはパノフスキーが実践していたことなんですよ!…といい募ることもできるでしょうけど、こんなのはやりの理論の言葉を使って自分の研究を形容しただけで何の意味もないな。理論というのはこういう装飾のために存在するのではない。
こちらも参考までに。