16世紀イタリアのアリストテレス主義

History of Italian Philosophy (Values in Italian Philosophy)

History of Italian Philosophy (Values in Italian Philosophy)

  • Eugenio Garin, History of Italian Philosophy, trans. Giorgio Pinton, 2 vols. (Amsterdam: Rodopi, 2008).

ガレンによるイタリア哲学の通史です。1947年にイタリア語の初版が出され、2008年に英語訳が出版されています。「ポンポナッツィからクレモニニまでのアリストテレス主義」と題された第15章(329–78頁)を読みました。16世紀のアリストテレス主義というのは、新たな文化から来る要請に応えて自らを変容させて行く運動であって、この主要な震源地であるパドヴァアリストテレス主義を中世哲学の単なる残滓と見てしまうことは、テレジオ、ブルーノ、ガリレオといった新たな哲学を構想した人物たちの背後にあった動機を理解不能にしてしまうだろう。こうガレンは強調し、知性論を記述の軸にして1500年代の様々なアリストテレス主義者を取り上げています。英語で読むことができる16世紀アリストテレス主義の総合的記述として貴重なものですし、ガレンによって選びぬかれた印象的な引用の数々は読み応えがあります。