場所のなかの科学 Naylor, "Historical Geographies of Sciences"

  • Simon Naylor, "Introduction: Historical Geographies of Sciences - Places, Contexts, Cartographies," British Journal for the History of Science 38 (2005): 1–12.

 科学活動によって生みだされる知識を、時間と空間を超越した真理ととらえるのではなく、むしろ科学知識にはそれが形成される場所に規定されている面があると考える。このような立場から、「科学の地理学」の歴史研究をDavid Livingstoneは呼びかけてきた。そのLivingstoneも含めた寄稿者からなる特集が2005年にBritish Journal for the History of Scienceで組まれており、本論はその序文である。従来の研究が三つのグループに分けられ整理されている。一つは実験室、フィールド、病院、コーヒーハウス、パブといった比較的小さな規模の場所が科学知識の形成にいかに寄与してきたかを論じる論考群である。Steven Shapin, Simon Schaffer, Dorinda Outran, Robert Kohler, Larry Stewart, Anne Secordらの研究が言及される(なぜかWestmanが言及されない)。第二のグループは、都市や地域、国家といったより大きな規模の場所と科学知識の関係を調べた研究からなる。InksterとMorrell, Paul Eliott, James Secord, B. Braunらの研究があがっている。第三のグループは、科学者や研究グループが持っている地理的前提が科学知識の内容を方向づけるという研究からなり、Alexander von HumboldtについてのM. Nicolsonの研究などが言及されている。

関連文献

Putting Science in Its Place: Geographies of Scientific Knowledge (Science.Culture)

Putting Science in Its Place: Geographies of Scientific Knowledge (Science.Culture)