ゲマとケプラーと大地の魂
先日紹介した『ヨハネス・ケプラーの神学。正統と自然科学のあいだで』 Jürgen Hübner, Die Theologie Johannes Keplers zwischen Orthodoxie und Naturwissenschaft (Tübingen, 1975) をぱらぱらとめくっていたら、大地の魂(anima telluris)についての記述に出くわしました(232頁注13)。
ケプラーは1605年2月21日にWolfgang Wilhelm von Neuburgに手紙を出していて、その中で大地の魂について論じているそうです。そしてそこでは大地の魂という考えがコルネリウス・ゲマに関係付けられているとのこと。
この手紙はケプラー全集の第15巻161-68頁に収録されています。Hübnerは111頁以下と記していますけど、これはたぶん単純な間違い。
で、たまたまこの巻を図書館から借りていたこともあって、さっそくチェックしようと思ったら…。
ええ、見事にドイツ語で書かれた手紙でした。いや、ドイツ語ならがんばれば読めるのです。でもでもでも、この全集版のドイツ語はヒゲ文字で書かれていて読めない!!慣れればすぐという人もいますが…。
とりあえず164頁でゲマが言及されているのは確認できます。前後で何が言われているかはさっぱりですけど。というわけで、興味がある人は下記の手紙をバリバリ読んでみてください。
- ttp://www.geocities.jp/mitakaryo/Kepler_Neuburg_KGW_15.PDF
ゲマとケプラーといえばid:Freitagさんが次のように述べています。
僕的には、ゲマ会議は今後のケプラーやブルーノ、そしてカンパネッラ研究に地殻変動を起こすような潜在力を持っていると思っています。
これらの3人の有名人が後に展開するアイデアの多くが、現在では全く忘れ去られているゲマのテクストに詰まっているのですから。
本当に彼の著作は末期ルネサンスの学知の結晶としか言いようのない謎のキラメキを持っているのです。ルネサンス型の新プラトン主義者だったら、彼のテクストを前にして、我を忘れるほど魅惑されるのは必然なのです。
ごくごく個人的な「本」日記 2006年4月後半
「後に展開するアイデアの多く」のなかには大地の魂に関する議論が含まれていたのかもしれませんね。