ゲマ論文、英語訳

 id:FreitagさんからHallynのフランス語論文の英語訳草稿をいただきました。フランス語から英語にしただけはあって、かなり入り組んだ構文になっています。いや、入り組み方が英語的ではないというか。あと文章の切り方にも違和感を感じます。これは原文を尊重するか英語の流れに合わせてどんどん手を入れるかで難しい選択をせまられそうです。

 途中でJean Penaが使っているanimabilisがhapaxであるという点から、Penaによるキケローの参照を論じている箇所があります。ここを読んで自分が書いた卒業論文を思い出しました。

 ペトルス・ラムスは最初の著作で次のように述べています。

unde salutaris, et vitalis spiritus animantibus praebetur
(Dialecticae institutiones, 38v40f.)
そこから健康と生命をもたらすスピリトゥスが動物たちに供給される

 で、対応するキケローの箇所が次。

vitalem et salutarem spiritum praebet animantibus
(De natura deorum. 2,117.)
生命と健康をもたらすスピリトゥスを動物たちに提供する

 ラムスがキケローを参照しているのはやはりanimabilisというhapaxを使っていることから明らかです。卒業論文ではここでのキケローの参照を一つの根拠として、初期のラムスをプラトン主義者と呼ぶのはだめですね、みたいなことを主張した覚えがあります。

 それはどうでもよくてPenaですけど、彼はラムスの弟子なので、おそらくこの箇所を読んでいたと思います。だからここでPenaがキケローを参照しているからといってストア派ストア派と騒ぐのはどうかなと。大体『神々の本性について』の第2巻の議論なんてなんとでも使えるわけですし。

→やたら早くに目が覚めたのでとりあえず一読して気がついたことを送りました。完成のためにはキケロー、レティクス、ガリレオの英語訳が必要になりそうです。