わわわわ。寝て起きたらみんな解決していました。prokoptonさん、respondeoさん、Lovejoyさん、本当にありがとうございます。非常に有益なコメントばかりなので、こちらの方でまとめてしまいます。
>シンプリキオスの『霊魂論注解』が中世に訳されたというマレンボンの見解について。
ボエティウスの専門家マレンボン氏は,端的に間違っていると思われます.The Cambridge History of Later Medieval Philosophy(1982)の中のBernard G. Dod, “Aristoteles Latinus”における整理ですと,William of Moerbekeが訳したDe animaの註解というと,PhiloponusとThemistiusだけが挙げられています.信頼できるとは必ずしもいえないド・リベラの『中世哲学 史』(邦訳)でも,444頁の記述では,この二つだけです.
>博士によると,やはりThemistiusが重要で,Simpliciusの霊魂論註解は訳 されていないだろうとのことです.ちなみに,後者はルネサンス期に訳されたとのこと.ご教示感謝いたします.
(Lovejoyさん)
どうもありがとうございます!シンプリキオスがラテン語に訳されたのはルネサンス期に入ってからのようです(Zabarellaは読んでいたとは聞きますが…自信なし。というか彼ならギリシア語で読めますね)。しかしマレンボンさんは、テミスティオスの方と取り違えたのでしょうか。
>アフロディシアスのアレクサンドロスの『運命について』の第2巻が『魂について』っていうのはどういうことですか?
アフロディシアスのアレクサンドロスの方ですが,『魂について』の第2巻というふうに言われているのは,’Mantissa’(日本語に訳すとどうなるのでしょうかね)という小論集のことなので,それの誤りか何かだと思います。
’Mantissa’の英訳はすでに,R.W. Sharples, Alexander of Aphrodisias. Supplement to On the Soul. Ithaca: Cornell University Press, 2004というのが出ています。
(prokoptonさん)
非常に勉強になります。”Mantissa”の日本語の定訳はそれこそ近い将来にprokoptonさんがつけることになるのでしょうね!しかしSharplesさんは多作ですな。。。
(prokoptonさんにとっては言わずもがなのことでしょうが)フレーデによると、アレクサンドロスが運命について述べている代表的な箇所は、『運命について』、『Mantissa』、そして『問題集』2.4.5だそうです。なるほど。
>アレクサンドロス『魂について』の英語訳は本当に出ているのか。イタリア語訳を持っている人は日本にいるのか。
アレクサンドロス『魂について』(と今言うときには’Mantissa’は普通入れないようです)の英訳(部分訳)を出している人は,FotonisではなくFotinisです(Stanford Encyclopedia of Philosophyのサイトも綴りを間違っているようですが)。私もコピーは持っているので(持っているだけ),これも水曜日に持って行きます。
Accattino & Doniniのイタリア語訳(これは全訳)も一応持ってはいるので(持っているだけ),カバンが壊れそうでなければ合わせて持って行きます。
(prokoptonさん)
うわ。全部持っているのですね!たしかにFotinisの間違いのようです。ちゃんと調べないまま書いてしまって申し訳ないです。。。
webcat情報
http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BA2749365X
イタリア語の訳やっぱり持っていましたか(日本では唯一?)!水曜日にたくさん(テミスティオス、フィロポノス、アレクサンドロス etc.)持ってきていただけるとのこと、本当にありがとうございます。僕としても一次資料なのでぜひコピーをとらせていただきたいです(懇願)。
もう解決されましたでしょうか。でしたらごめんなさい。局所的には最後のものが一番新しいですが、全体については最初のものが手にとりやすいのです。最初のものは真ん中のものをもとにしているとのこと。学情のIDをつけておきました。御役に立てば幸いです。
- Albertus Magnus, De anima, ed. C.Stroik, Opera omnia vol.7 BA40145840
- Ps.-Petrus Hispanus, Expositio libri de anima, in: Pedro Hispano Obras filisoficas III, BA28795654
- Anonymi Magistri Artium (c.1246-1247) Sententia super II et III de anima, ed. B.C. Bazan and K,White, Louvain-la-Neuve, 1998 BA50221887
(Respondeoさん)
いや、寝ていたのでぜんぜん解決していませんでした(涙)。ほんとうにありがとうございます。
最初のものはアルベルトゥス・マグヌスの校訂版ですね。これに入っているのですか。そういえばアルベルトゥスになると(執筆はオックスフォードで1243年頃らしいです)、ヤコブの翻訳を使うしかなくなってしまいますよね。完全に失念していました。
ちなみに、このアルベルトゥスの『霊魂論注解』の校訂版は、Gauthierが「校訂版の名に値しない」と怒っているそうです(ここを参照)。これは2番目のものをもとに作っているからなのですねぇ。なるほど。
2番目のものは偽ペトルス・ヒスパヌス!これが校訂されているとは驚きです。スペインですね。これも書かれたのは1240年頃のようなので、やはりヤコブ訳を用いるしかないですね。
3番目のものは、J. Vennebuschが1963年に校訂したもの(webcat情報)と同じなのでしょうか。新しく校訂したみたいですね(あるいは別の作品?)。アルベルトゥスの『霊魂論注解』を使っているそうです。1260年頃に書かれたもののようなので、メルベケ訳に移行していても不思議ではなさそうですが、ヤコブ訳なのですね。とりあえずこれを取り寄せることができるかどうか試してみることにします。
いやみなさん、本当にありがとうございます。自分で調べたら一週間は取られたであろう情報が、寝ている間に入ってくるなんて(涙)。今後もいろいろ不完全な情報を書かせていただくと思いますが、なにとぞよろしく