2009-01-01から1年間の記事一覧
Massimo Luigi Bianchi, “Scholastische Motive im ersten und zweiten Buch des De subtilitate Girolamo Cardanos,” in Girolamo Cardano: Philosoph, Naturforscher, Arzt, ed. Eckhard Keßler (Wiesbaden: Harassowits, 1994), 115–130. カルダーノがア…
Mulsow の熱についての研究を読んで、id:Freitagさんと少し議論しました。いろいろ問題を含んだ研究ですけど、勉強になることもたくさん書いてあります。
熱を魂と同一視するカルダーノの理論の特徴を記述するところを書きあぐねています。まず中世以来、熱をはじめとする一次性質は魂の道具であると考える見解が主流であったと書き、その後ルネサンスのプラトン主義者であるフィチーノですら熱を魂の道具とみな…
週末に二次文献を読み返し、月曜日からはとにかく執筆。なんか最後の方は文章が支離滅裂になってしまった気がします。とりあえず『精妙さについて』で展開される熱と霊魂についての議論はなんとかまとめたかっこうにしました。最後に彼の世界霊魂論の特徴を…
現在仕分されております。若手研究者向けの予算。「ドクターを取った人間だけ手厚く保護する必要があるのか」。→今日の分は終わりました。集計結果は以下の通りです。 予算要求通り 2名 予算計上見送り 1名 予算縮減 1−2割縮減 4名 3分の1縮減 3名 半額 3名 …
朝から博論の執筆です。午前中は500ワードほど書きなぐりました。議論の進行としては『魂の不死について』→『精妙さについて』→『魂の不死について』になるかと思います。内容としては世界霊魂の起源について→世界霊魂が熱であるかについて→世界霊魂と人間知…
p. 203-204 魂の不死性についてのプラトンの見解を『国家』、『ティマイオス』、『ファイドン』、『アルキビアデス1』に沿って解説している。カルダーノ自身の見解が示されているわけではない。p. 206 同じくプラトンの見解の解説。ディオゲネス・ラエルテ…
id:Freitagさんと一時間ほどチャットして、カルダーノの世界霊魂論について議論しました。議論したというより私が一方的にいろいろ教えてもらったというのが正確ですね。当時の霊魂論の中でのカルダーノの独自性と、それに反発して形相の宗教を守ろうとする…
カルダーノが世界霊魂をそれなりに詳しく論じているのは、『魂の不死について』であることが分かりました。FrangoAngeliから出ている校訂版のページ数で引くなら、203-204, 206, 292-93, 309, 312-14, 394 (spiritus immundi)が重要な箇所になりそうです。こ…
桑木野幸司、「建築的記憶術、あるいは魂の究理器機 初期近代の創造的情報編集術とムネモシュネの寵児たち」『思想』1026 (2009)、27-49頁。 イェイツとロッシの作品以来、欧米では記憶術に関する研究が大幅に進展したにもかかわらず、日本ではその進展が的…
一七世紀科学革命 (ヨーロッパ史入門)作者: ジョン・ヘンリー,東慎一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/05/28メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (13件) を見る 授業でこの本を輪読しています。 本書の第4章では魔術的伝…
遅くなりましたけど、10月に手に入れたものを挙げておきます。 『懐疑主義と正統派信仰 セクストゥス・エンピリクスの読者としてのジャンフランチェスコ・ピコ』 Cao, Gian Mario. Scepticism and Orthodoxy: Gianfrancesco Pico as a Reader of Sextus Empi…
イタリア広場作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,村松真理子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/09/01メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (8件) を見る イタリア広場 - 白水社 アントニオ・タブッキ著,村松真理子訳 『イタリア…
Long Commentary on the De Anima of Aristotle (Yale Library of Medieval Philosophy Series)作者: Averroes,Richard C. Taylor出版社/メーカー: Yale University Press発売日: 2009/10/20メディア: ハードカバー クリック: 9回この商品を含むブログ (3件)…
ただいまフィリーの朝です。四人でゆっくり過ごしております。ここに到着して以来私はまさに借りてきた猫よろしく、仲間のウォルターと一緒に猫的な日常を送っています。一ヶ月もいれば完全に猫として風景の一部になれそう。 しかし猫のいる生活はいいですね…
科学史研究に投稿した論文が出版されることになりました。八月投稿のものなのでずいぶん審査がスムーズに進んだことになります。原稿を丁寧にみてくれたかもさんとnさんに感謝。詳しいことはまたのちほど。
一般的にカルダーノは『精妙さについて』の中で世界霊魂の学説を支持したと言われています。しかしよく見てみると、世界霊魂の学説が本格的に論じられているのはDe arcanis aeternitatisという著作です。しかも偽ディオニッシウスに依拠して展開される同書の…
スカリゲルがイデア論を批判するときに、近年の著作家の解釈として「プラトンのイデアを illustres notitiae と理解する」というものを紹介しています。この時彼はいつものようにその人物の名前を具体的に述べることはしていません。しかしその箇所のマージ…
『懐疑主義と正統派信仰 セクストゥス・エンピリクスの読者としてのジャンフランチェスコ・ピコ』 Cao, Gian Mario. Scepticism and Orthodoxy: Gianfrancesco Pico as a Reader of Sextus Empiricus. Pisa: Serra, 2007. 査読者に読むように言われたので苦…
移動中の電車の中などで次の本を読みました。新参者作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/18メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 153回この商品を含むブログ (225件) を見る いまいち盛り上がりに欠けます。この場所を舞台にこれからも続…
整理というより思いついたことをの殴り書きです。 スカリゲルは世界が魂を持つことは認めます。しかし彼はプラトン主義者の想定する世界霊魂の存在は認めません。世界霊魂論を否定する際に、彼は幾つかの論点を立てています。それらの論点を大雑把に整理する…
〔以下では『エスター』という映画について「物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています」。〕 火曜日に京都大学で発表をすることになっているので、ただいま滋賀県の実家に帰省しております。ちょうど同じ時期に友人が関西方面に出張というこ…
WILSON : EPICUREANISM作者: Catherine Wilson出版社/メーカー: Oxford University Press (Japan) Ltd.発売日: 2008/06/06メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (2件) を見る あまり学ぶべき点はありませんでした。著者は17世紀の前半には関心がない…
Karl Friedrich Hermann, ed., Platonis dialogi secundum Thrasylli tetralogias dispositi (Leipzig: Teubner, 1873), 249 (Greek) = Michael J. B. Allen, Icastes: Marsilio Ficino's Interpretation of Plato's Sophist (Berkeley: California Universi…
「プラトンの『政治家』におけるデミウルゴスと世界霊魂」 T. M. Robinson, "Demiurge and World Soul in Plato's Politics," American Journal of Philology 88 (1967): 57-66. プラトンがデミウルゴスと世界霊魂の関係についてどう考えていたのかを知りた…
BnF - Les Signets de la BnF se transforment 友人から教えてもらいました。BNFが運営しているリンク集です。これはすばらしい。
伊藤博明「詩と哲学 地中海文化圏からの視座」『岩波講座 哲学14 哲学史の哲学』岩波書店、2009年、197-230頁。 キリスト教哲学者たちが古代の韻文作品に対してどのように神学的意味を読み込んだのかを解説した論文です。時代的には古代アレクサンドリアでの…
今日はスカリゲルのプラトン主義解説のソースについてなかなか面白い発見をした気がしています。いくら直接プロクロスを探しても見つからないわけだ。結論を出すためには Michael J. B. Allen, Icastes: Marsilio Ficino's Interpretation of Plato's Sophis…
先日紹介した『ケンブリッジ版エピクロス主義必携』とウィルソンの『近代性の起源におけるエピクロス主義』を指導教員に頼んだところ、早速にも購入してもらえることになりました。一方 Lohr の『ラテンアリストテレス注解 二次文献案内』は適当な本屋で見つ…
博士論文の第2章の仕込みのために、世界霊魂の勉強をはじめました。なぜこんなことをはじめるかというと、発生や混交やミニマについて調べてみると、やはり世界の上の方で何が起こっているかを先に理解しないことには、世界の下の方で何が起こっているのかは…